「最低賃金と社長の報酬」

先日、2022年の最低賃金が決まり、発表されました。今年の上げ幅はこれまでの最高で31円だということをニュースで知った人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「最低賃金と社長の報酬」というテーマで考えてみたいと思います。

【最低賃金について】
◆最低賃金とは、経営者が労働者に支払うべき賃金で、下回ると法律で罰則があります。
毎年国の審議会が時給でどれだけ上げるか、目安と呼ばれる上げ幅の基準を設定しています。それに準じて各都道府県がそれぞれ具体的な額を決まます。 (国の審議会は、労使双方と学者などの公益代表で構成されています)
◆これまでの引き上げ幅は、2016年以降は毎年約3%で20数円でした。しかし、2020年はコロナの影響でわずか+1円。2021年は一段落したということで+28円でした。
そして2022年は、ウクライナ情勢と物価高が最大の焦点となったものの、これまでの最高の上げ幅である+31円になったということで、全国平均の時給は930円になりました。(東京・神奈川は時給1040円台、最低地域は820円台で地域格差は約220円です)
※時給1000円で、フルタイムで働いてもワーキングプアの目安である年収200万円にも届きません。

《海外の最低賃金との比較》(2021年4月現在/円換算)
(イギリス)1359円 (フランス)1338円 (ドイツ)1239円 (日本)902円
※日本の労働者の最低賃金がG7の中でもいかに安いかお分かりいただけたことでしょう。

【社長の報酬】
◆ここまで労働者の「最低賃金」について見てきましたが、それでは経営者の「報酬」どのようになっているのでしょうか。
「人を大切にする経営学会」会長の坂本光司先生が、現在東京新聞に連載中の「この道」の中で「社長の報酬」について書いていらっしゃったので、その一部をご紹介します。
◆『社長の報酬を決める法律はありません。データによると、上場会社の役員は年収1億円が500人、2億円が210人、10億や20億もいて最高は28億円。これ以外に株の配当金などもあります。
一人の人間が大学を出て、40年間働いたとして生涯賃金は2億円とか2億5千万円です。中小企業だともっと大幅に少ない。それと同額の金額を1年でもらっているのです。
私はもらいすぎだと思います。出せる、出せないではなく、許されないとさえ思います。
私は社長の適正な報酬は、一般社員の5倍程度だと考えています。これには根拠があります。
例えば、労働時間でみると、社員は一日8時間、月に20日働くとして年間労働時間は約1760時間。(有給休暇20日を除く)になります。
これに対し、社長は土日も含め、朝から晩まで仕事のことを考える宿命です。一日24時間、年365日働くとすると年8760時間。社員の5倍分になるのです。もっとも土日休日を完全に休む人もいれば、平日でもゴルフざんまいという人もいるのですが・・・。
だから社員の年収が500万円なら2500万円、もし社長が5000万円もらいたいと考えるなら社員の給料を1000万円にという話です。 社員は社長の働きぶりと報酬に関心が高く、働くモチベーション、ひいては生産性に大きく影響します』

◆ご感想はいかがですか。 現在の日本の社会は、「低賃金 → 消費を控える → 物が売れない → 景気が良くならない → っ給料が上がらない」の悪循環です。 逆に、給料が上がれば、景気が良くなる好循環に変わるのです。
経営者の皆さんには坂本先生のおっしゃるように、ご自分の報酬の一部を社員の給料アップに回して、社員を大切にする真の経営者であることを示していただきたいものです。そうすれば、社員の意欲は高まり、会社がさらに成長することでしょう。