「男女格差:いびつな国ニッポン」

皆さんは、世界的に見て日本は男性と女性の間にさまざまな格差がある国だということをご存じでしょうか? 日本の働く女性の7割が「男女の不平等を実感している」そうです。
実は昨日、NHKのニュースで「都立高校入試:男女で合格ラインに格差がある」ことを初めて知り、驚きました。 合格ラインを同じにすると、女性の合格者が多くなりすぎるか らというのです。 そういえば、3年前に入試で男性に下駄を履かせていたいくつかの私立の医科大学が問題になりましたね。 ニッポンの男性はそんなにもダメなのでしょうか?
先日、「世界の男女格差」についての調査が発表されましたので、今回は、日本の「男女格差」について考えてみたいと思います。

【ジェンダーギャップ指数】
◆世界経済フォーラム(WEF)による「ジェンダーギャップ指数」は、経済・教育・健康・政治の4分野14項目のデータを基にして、各国の男女の格差を分析した指数です。 各分野での国の発展レベルを評価したものではなく、純粋に男女の格差だけに着目して評価していることが、この指数の特徴です。
◆2006年から毎年発表されていますが、今年の結果は156カ国中、1位アイルランド、2位フィンランド、3位ノルウェーで、日本は120位でした。 アメリカは30位、韓国は102位、中国は107位でした。G7の中ではもちろん最下位です。ご感想はいかがですか?

【日本の男女格差がいびつなのはなぜ?】
◆それにしても、なぜ日本の男女格差がとても大きく、世界でも低レベルなのでしょうか。主な理由をいくつか挙げてみましょう。
①日本の女性の政治参加レベルが低いこと
日本では女性が元首になったことはなく、国会議員に占める女性議員はわずか9%(先進国の平均20%、北欧は50%以上)であり、閣僚に占める割合も依然として低いからです。
②男性中心の労働社会であること
これまで男性正社員を中心に長時間労働が当たり前という労働慣行が主流でした。女性が出産後も働き続けるための形態が整っていないため、日本では管理職など企業で意思決定を行う女性の割合が少ないのです。 また、女性の73%が働いているにもかかわらず、非正規やパートタイムで働く女性が多く、女性の平均収入が男性よりも43%も低いのは大きな課題です。


➂日本では家事をしない男性が多いこと
日本の男性が家事にあてる時間は。他国の半分以下です
。 「夫は外で働き、妻は家を守るべき」という意識が、いまだに根強く残っているのです。また、日本の女性が無報酬の家庭内労働に費やす時間は男性の4倍以上であるとも言われ、育児や介護などの負担も女性の方が大きいことも問題です。
④昔ながらの慣習に縛られていること
ジェンダーの話になると、必ず「女性には女性の役割がある」とか「男女は生まれつき違う」という人がいます。個人の意見は自由ですが、昔ながらの声に振り回されていると、次世代が希望を持てるような社会は創れないことを自覚すべきです。

【日本の男女格差を縮めるために】
◆それでは、日本の男女格差を少しでも縮めるために、できることは何でしょうか。 主なものをいくつか挙げてみましょう。
①女性の「政治参加」を促すために、クォーター制(一定の割合を決める)を導入し、議員の働き方改革を実施すること
男女格差の中でも、最も遅れているのが政治の分野で、日本は156カ国中147位。なんと、先進国といわれている日本が世界のワースト10に入っているのです。 恥ずかしいですよね。なんの対策も取らず、自然に男女格差が解消するのを待っていると135年もかかるというのですから、早急にクォーター制の導入や議員の働き方改革などの対策が必要でしょう。
②経済分野での女性進出を促すには、女性のキャリア再教育や男女偏りのない雇用と昇進を行うこと
「女性は昇進したがらない」とか「女性は結婚や出産で辞めてしまう」というのは、そうせざるを得ない原因があるからです。その原因を解決すべきではないでしょうか。
➂育児や介護で男女が均等に休みを取得できるようにすること
育児休暇を取る男性が増えているようですが、男女格差が解消するにはまだまだ少ないというのが実態です。しかし、最近の若い男性は家事や育児に協力的な人が多いようですので、近い将来男女格差が解消されるものと期待しています。
④偏見や昔ながらの声に振り回されないこと
「女性はお茶くみするのが当たり前」「男は営業、女は事務」「結婚するときは寿退職」など、日本では女性が指導的な地位に立つことへの否定的な見方がまだまだ根強く残っています。 また、無意識に「女のくせに」などと女性を蔑視するような上司の下で苦労している女性は少なくないのではないでしょうか。

◆日本政府は近年、ジェンダー・パリティ(公正)の推進を進め、2013年に社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%とするという「ウーマンノミクス戦略」を提唱し、「女性が輝く社会」を実現すると公約しました。しかし、現実は公約どおりに実現していません。 日本は先進国の1つとして、責任のある役割を果たすためにも男女格差を少なくする必要があります。 また、次世代が希望を持てる社会を創るためにも、本気で男女格差を減らす具体的な取り組みを一つ一つ実現していくことが必要ではないでしょうか。