「ミライ人間洗濯機」(2)

前回のブログで大阪の企業「サイエンス」が開発中のシャワーベッド「ミラブル」を2025年の大阪万博で展示する準備を進めているというニュースをお伝えしました。
ところが、その数日後「ガイアの夜明け」で東京・台東区の企業「シリウス」が介護用入浴商品「スイトルボディ」を4月から量産化したことを知りました。
そこで今回は、「シリウス」の「スイトルボディ」についてご紹介したいと思います。

 

【シリウスの亀井隆平氏】
◆先ず始めに、シリウスの社長・亀井隆平氏(59)のプロフィールをご紹介します。
亀井氏は、学生時代から柔道一直線で25歳の時にサンヨーからスカウトされて入社。しかし、29歳の時に怪我のため選手生命を絶たれ、その後はサンヨーの営業マンとして邁進。
2011年4月サンヨーが姿を消し、パナソニックの子会社化に。ほとんどの人が失業した中、亀井氏はパナソニックからの誘いを断り、妻と二人で起業。10年足らずで年商12億円の会社にまで育て上げました。
亀井氏のプロフィールを詳しく紹介したのは、趣味で集めている古い家電は全てサンヨー製というほど“サンヨーの血が流れている”からです。

【シリウスの入浴介護用品「スイトルボディ」】
◆シリウスの社長・亀井氏が満を持して世に送り出したのが入浴介護用の「スイトルボディ」です。
この「スイトルボディ」の試作品を、ある特別養護老人ホームで使ってもらったところ、次のような結果が出ました。
≪老人ホーム≫ 週2回、通常入浴介助2人の手で30分かけて実施。その際、水を1,000リットル使用。
≪スイトルボディ≫ 1人洗うのに、水温42℃の水を1リットルしか使わず、しかもわずか10分で終了。
寝たきりのおじいさんに試してもらったのですが、お湯がほとんど漏れず、寝ながらにして身体を洗うことができました。
◆実は、この「スイトルボディ」はある物が原点になっていました。
1970年の大阪万博でサンヨーが出展した「人間洗濯機」のプラモデルです。亀井氏が6歳の時、この「人間洗濯機」を見て、「この洗濯機に入って、体を洗ってみたい!」と思ったそうです。50年以上も昔、今の時代を見越していたのです。
「昔なのに近未来的。それを甦らせている」と亀井社長は言っています。サンヨーは消滅しましたが、そのモノづくりの精神は亀井社長にしっかりと受け継がれているのです。

【「スイトルボディ」の活用】

◆2024年2月下旬、福岡。この日は、本格的に「スイトルボディ」の販売網を広げるための説明会が開かれました。
介護施設や病院など、ひっ迫した介護現場を何とかしたいと思っている人たちが集まりました。中には、介護用品販売業者や冠婚葬祭業者など、意外な業界の人たちもいました。他にもキャンプや被災地にもニーズがあるという声もあり、亀井社長は思いがけないニーズがあることを知りました。
「我々は福祉業界には初参入だから、まずは知ってもらうことが一番」と、亀井社長は積極的に全国行脚を続けています。
◆「介護の現場は待ったなし。とにかく人がいない。いたとしても、他にやらなきゃいけないことがある。(入浴介護で)3割作業が減ったら、相当な軽減になる。その間に他のサービスができる」と亀井社長は言います。
◆「スイトルボディ」の全国行脚中、亀井社長に嬉しい知らせが届きました。説明会に来ていた山口の企業が1億円の大口出資をしてくれることになったのです。
そして、試作品を試してくれていたベトナム・ハノイの大きな病院が6月からの本格導入に向けて動き出してくれることになったのです。
◆「日本は介護先進国。世界中のどこよりも早く団塊の世代が後期高齢者になります。日本での成功を海外に広めていくという意味では、(日本家電の)メード・イン・ジャパンの復活になるのです」と話す亀井社長には最後の一手が。
月に2回ほど訪問入浴を利用している家庭を訪れた亀井社長。
「そう、個人の家でもスイトルボディを使ってもらいたいのです。そのため、介護保険が使えるように頑張っています。そうすれば、1か月1,000円ぐらいで使えるようになります。」

 

◆ご感想はいかがでしたか?「シリウス」のような会社にこそエールを送りたいですよね。