「統一地方選挙の投票率」

4月23日に投開票が行われた後半戦の統一地方選挙では、最年少の市長(兵庫県芦屋市)が誕生したり多くの女性議員が当選したりして話題になりました。一方で「投票率の低さ」という課題が浮き彫りになっています。
そこで今回は、どうすれば「投票率の低さ」を解決できるのかご一緒に考えてみませんか。

【今回の統一地方選挙の結果】
◆今回の地方統一選挙では、兵庫県芦屋市で「最年少」(26歳)の市長が誕生しました。また、東京都では、新たに3人の女性区長(豊島区・北区・江東区)が当選し、過去最多の6人になるなど女性の躍進が目立ちました。
しかし一方で、各地の選挙で浮き彫りになったのが投票率の低さでです。

《統一地方選(後半戦)の投票率》
①市長選挙(精霊指定都市を除く) 47.73%
②町村長選挙           60.79%
➂区長選挙            45.78%
④市議会議員選挙         44.26%
⑤町村議会議員選挙        55.49%
⑥区議会議員選挙         44.51%
◆②と⑤は5割を超えていますが、あとは4割台という低さです。
なお、統一地方選挙に合わせて実施された衆参の補欠選挙では、山口2区では42.41%、山口4区にいたっては34.71%という低さです。
有権者の1/3ほどしか投票しなかったことになります。

《統一地方選(後半戦)の無投票当選》
①市町村選挙首長選挙 96人
②地方議会首長選挙  14の市、123の町村

【北欧の政治教育】
◆日本の「投票率の低さ」をどうすれば解決することができるのでしょうか。
そのヒントは、以前ブログ(2021年11月17日)で紹介した「北欧の政治教育」にあると思いますので、再度簡単にご紹介しましょう。
《スウェーデンの政治教育》
◆スウェーデンの投票率は、全体で87.2%、18~24歳で84.9%、25~29歳で85.1%です。
なぜこんなにも投票率が高いのでしょうか。主な政治教育をいくつか紹介します。
①選挙ブース
◆選挙が始まると、約1か月前から全国各地に「選挙ブース」を設けて国民と対話できるようにしています。
複数の政党が「選挙ブース」を設置して、議員・党員が国民と議論したり、なぜこういう政策なのかという質問もそこでできるのです。
②模擬選挙
◆中学校・高校では、政治家と討論会を開き、総選挙の日と同じ日に同じ投票用紙を使って、投票するなどの試みが行われています。
➂子ども議会(12~17歳)
◆ヨーテボリ市では、12~17歳の子どもを対象に「子ども議会」が作られています。使える予算は年間約400万円。子どもたちが「子ども議会」で公共交通機関について話し合い、この予算を使って平日無料にしました。
◆以上のように、スウェーデンでは、「選挙ブース」で地道な議論を進めていく。また、子どもたちは民主主義の担い手として、学校教育の中で民主主義の在り方を実践的に学んでいるのです。

【アイスランドに学ぶ】
◆別の視点から見てみましょう。
投票率が8割、国会議員の半数が女性というアイスランドにも学ぶことが多そうです。
「アイスランド」をテーマとした神戸大国際協力研究科の研究員・塩田潤さんの話を紹介します。
★塩田さんは、「アイスランドでは、とにかく政治と日常の生活が近い」と話します。
そして、「政治は市民がつくっていく意識が必要」だと言います。
アイスランドでは、以前は投票率はこれほど高くなかったそうです。
しかし、2008年のリーマン・ショックで金融立国だったアイスランドが国家破綻寸前まで傷ついた時、「国を根本から変えなければならない」と多くの市民が動き始めたといいます。
2008年10月以降、内閣の総辞職や総選挙を求め、国会前で連日デモが繰り広げられたそうです。手法は台所から音の出るものを持って参加したことから「鍋とフライパン革命」と呼ばれています。
◆「有権者は投票するだけの存在とされがちだが、それは違う。アイスランドでは、市民運動や新政党という選択肢を有権者がつくった」と塩田さんは話します。
そして、「日本も政治を市民がつくっていく意識が必要だ」と呼び掛けています。

◆ご感想はいかがでしたか。
日本でも投票率を上げるためにいろいろな試みがなされています。しかし、北欧の例からも分かるように、抜本的な対策が必要であることは言うまでもありません。
地方議会が旧統一教会に汚染されていても正面から解決しようとしない日本にそれができるでしょうか。
私たち一人一人が自立した市民であり、有権者であることを自覚すれば日本の政治を変えることができると私は信じています。