「ドイツの政治教育」

昨日(10月31日)衆議院総選挙が実施されました。投票率はどおうだったのでしょうか。今回はこれまでになく若い人たちの投票率が上がったのではないかと期待しています。これまでになく若い人たちへの投票が呼びかけられていましたし、コロナ禍の中で生活と政治が結びついていることを実感した人たちが増えたように思ったからです。
ところで、9月にドイツで実施された連邦議会選挙では、すべての年代で投票率は70%台でした。どうしてドイツではこんなに投票率が高いのでしょうか?
そこで今回は、ドイツでの政治教育についてご紹介したいと思います。

【ドイツでの政治教育】
◆ドイツでは幼稚園から政治教育(主権者教育)を意識した教育が始まります。まず初めに、自分の考えをしっかり持つことができるようにするためです。その後、小学校や15歳以上ではどのような教育が行われているのか具体例を上げてご紹介しましょう。

《幼稚園》給食のメニュー: 食べたい給食を子どもたちが自分で決めて選ぶ。
《小学校》募金活動の寄付先: どこに寄付するか子どもたちが話し合って決める。
《小学校》問題解決の方法:デモの手順などを学ぶ
◆社会の中で何か問題があって変えたいと思ったら、どのような方法があるか学ぶ。
(例)学校の前の通学路でスピードを出して走る車が多くて、子どもたちが危険を感じている時あなたならどうしますか?
ドイツでは積極的に子どもたちに議論させ、自分の行動が地域を変えることができるという体験を積み重ねて、解決する方法を学ぶ。(中学・高校でも同様) そのため、選挙権を得たら、当然のように選挙に行く。選挙に行くことで社会人になったことを自覚する子どもが多いという。
《解決するための手順》
①まずは、行政に報告する。(手紙を書くなど)
②解決しなければ、地元紙に投稿して、世論に訴える。
➂それでも解決しなければ、デモなどに参加する。
《15歳~》模擬選挙などを実施
◆生徒たちが各政党の政策を調べ、候補者を学校に読んで討論会を開く。 その後、学校を投票所にして、投票してみる。選挙権を得たら、すぐに投票できるようにする。
※この9月に実施されたドイツ連邦総選挙では、公立学校の生徒たちが模擬選挙を企画し、15歳~18歳の生徒たちが参加した。
※今回のドイツ連邦議会総選挙での投票率: 10代(70%)、20代(68%)、30代(73%)、40代(78%)、50代(79%)、60代(81%)、70代以上(76%)
※日本の総選挙(前回)の投票率: 10代(40%)、20代(34%)、30代(45%)、40代(54%)、50代(63%)、60代(72%)、70代以上(61%)

【ドイツと日本の政治教育】
◆ドイツの政治教育では、教師は多様な意見を示すとともに、個人的な意見を述べることもでき、各生徒の意見を尊重する。
一方、日本の教師は個人の政治的見解を避けることが多く、議論の起りそうな政治的テーマは避ける傾向がある。(早稲田大学・近藤孝弘教授)
◆日本では社会と政治を分断して考えている。 日本の若者たちは「政治は遠いものでよく分からない」とよく言う。 以前、ドイツの10代の男の子が「政治って、家から出れば全部政治だよね」と言った言葉がとても印象的だった。(マライ・メントラインさん)

◆ご感想はいかがでしたか? いかに教育が大事かよく分かりますよね。 若者だけでなく大人たちもコロナ禍での体験を通して、社会=政治であることを理解してくれることを期待しています。