「江戸寺子屋の段階的養育法~理十五で末決まる」

今回は「江戸寺子屋の段階的養育法」の最終段階である「理十五で末決まる」です。
これは「将来の道が見えて、自立できるようにする」ことですが、現在は「8050問題」が社会問題化している時代です。80歳の親が50歳になっても自立できない子どもの面倒を見続けなければならないという問題です。 これは親子だけの、また家庭だけの問題ではなく、まさに社会問題そのものですので、子育てのあり方がどうこういうことではないのかもしれません。
しかし、江戸寺子屋の段階的養育法を知ることによって、今の子育てのあり方を見直すことができるのではないでしょうか。

【理十五で末決まる】
◆江戸時代、15~16歳で元服(成人式)を迎えると、一人前の大人として扱われていましたので、数え年で十五歳にもなるとものごとの道理がわかっていなければなりませんでした。 いわゆる、大人の仲間入りをするということです。また、十五歳というのは、その子の個性や才能や素養などが見えてきて、将来どんな道に進むのかを判断できる年齢でした。 そして、その子にふさわしい進路を見極めるのは、期待が膨らむ親よりも寺子屋の師匠の役割だったそうです。
もっとも、そうは言っても、我が子の成長を一番身近に見てきたのは親ですし、子供が一番頼りにしているのは親です。(ですから、その時には悩みながらもアドバイスできる親でありたいですね) つまり、この「理十五で末決まる」のという言葉の意味することは、十五歳は将来の道が見えてきて、自立できるようにする時期であり、社会人にふさわしい基礎的なことを身に着けさせることが大切な時期だということです。

◆十五歳というのは大人に対して反抗的になりやすい時期ではありますが、子どもからあまり距離を置かないで、日ごろから良き相談相手になろうと努力することが大事なのではないでしょうか。

◆以上見てきたように、江戸寺子屋の段階的養育法から学べることは、「「心なくして成長なし」ということです。 人として一番大切な“心”が育っていないのに、知識だけを詰め込み、教え込もうとしても身につきません。 子どもを育てるには、時間をかけ、段階を経て、子どもとしっかり向き合うことがどんなに大切であるかということを、「江戸の子育て」は教えてくれているのではないでしょうか。

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