「江戸寺子屋の段階的養育法~十二文」

前回は「九つ言葉」ということで、言葉づかいと思考を深めてそれを引き出すための日本語力について触れましたが、今回は書く力についてです。
今の子どもたちは生まれたときからパソコンがあり、SNSをなに不自由なく使いこなしています。けれど、仕事に必要な文書を書けない若者がかなりいるといわれています。
それでは、江戸の商家では子どもたちにどのようにビジネスレターの書き方を教えていたのでしょうか。ご紹介いたします。

【十二文】
◆江戸寺子屋・段階的養育法の第四段階は「十二文十です。
江戸の商家では、子どもが数え年の十二歳ともなると、まがりなりにも主の代理ができるように育てられていました。 言うまでもなく、商売には文書の読み書きが必要です。商売をする上で必要な文書や納品書、請求書や領収書はもとより、時には苦情の詫び状など、いろいろな文書を書けなければなりません。そのため、商家の子どもたちはいろいろな文章を書く練習をさせられました。
文字を上手に書くことはもちろん、季節にふさわしい挨拶の言葉を入れたり、時には読み手に喜ばれそうな気の利いたひと言を書き添えたりすることも必要です。また、納品署や請求書など書き間違えれば商売に直結するため良い訓練になりました。さらに、苦情の詫び状を書くことで、店の改善点に気づくきっかけにもなりました。
このように、商家の子どもたちは、商売に必要なさまざまな文書を書く練習をしながら、商売の流れを実感し、気配りの大切さなど、商人として必要な能力を身に着けていったのです。

以上見てきたように、江戸の商家の子どもたちは、突然親がいなくなる万一の状況を考えて、自立に向けてしっかり準備していました。 数え年で十二歳といえば、今なら小学校の5・6年生です。文書を書くことが無理なら、家庭でも何か一つ責任のある仕事を持たせてもいいのではないでしょうか。

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