「価値観と価値感」

皆さんには、最近気になっている言葉や言葉の使われ方はありませんか?
私には、敬語や「~のおかげで」と「~のせいで」の使い分けなどいくつか気になっている言葉があります。その中でも、ここ2~3年特に気になっているのが「価値観と価値感」という言葉です。
そこで、今回は「価値観と価値感」について考えてみたいと思います。

「価値観」は、「物事を評価する際に基準とする、何にどういう価値を認めるかという判断」です。
この判断基準を意味する『観』が、ここ数年来『感』と表記された「価値感」を見かけるようになり、なんとなく違和感を感じていました。 特に昨年出席した心理学関係の研究会の資料に、これまで「自己価値観」と表記されていた言葉が「自己価値感」と書かれていたのを見てからずっと気になっていました。
そんな折、先日、「価値観と価値感」について書かれている新聞のコラムを読んで、これまでの違和感が理解できました。

このコラムの中で、武庫川女子大学の佐方哲彦先生(臨床心理学)は次のように述べています。
「表記の変化は社会の変容を反映していると感じています。 主体的に物事を捉える行為を表す『観』に比べ、『感』には受容的で直感的な意味合いがあります。 時間をかけて自分なりの意見を吟味するよりも、誰かに共感してもらえるよう、あいまいで感覚的な表現を選ぶ傾向は、さらに進んでいるのではないでしょうか」と。

佐方先生のお言葉を読んで、皆さんはどのように思いましたか? 私は、ただでさえ主体的に物事を考えて判断することが苦手な人が多いといわれる日本人が、これからますます時間をかけて自分なりの意見を吟味しなくなったら日本はどうなるのだろうとちょっと心配bになってきました。 やはり、これからは「主体的に物事を考えて判断し、自分なりの意見をもった」日本人が増えて、『感』よりも『観』で表記された言葉が増えることを願っています。
もちろん、日本人の繊細な感受性を大切にしながらであることは言うまでもありません。

 

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